文章を構成する内容を記述する際に注意しなければならない事柄をまとめる.
一つ一つの文は, 読み手がそこまでに読んだ情報のみで理解できるよう論理的に記述しなければならない. 論理的な筋道の中では, 例え自明なことであっても省略せず記述しなければならない.
話の主流から逸れたわき道はできるだけしない方が良い. わき道に逸れる場合はその場で伝えるべきであり, 後にその話題がわき道であったことが判明するようではいけない.
修飾節の中の言葉に修飾節を付けたり, 二つ以上の長い修飾節を付けるといったっことは避けるべきである. こうした状況に対しては次のように対処する.
事実とは, 証拠をあげて裏付けすることのできるものである. 事実に対しては,基本的に全ての人が同意するものとする.
事実 |
自然法則・ 自然現象・ テストや調査によって真偽を客観的に確認できるもの |
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例文 |
ジョージ・ワシントンはアメリカの初代大統領であった. |
事実を記述する際は, 主観的な修飾語を使わず, 明確に名詞と動詞を使って書くべきである.
意見とは, 何事かについてある人が下す判断である. ある意見に対して, 他の人は同意するかもしれないし, 同意しないかもしれない.
意見 |
推論:ある前提にもとづく推理の結論・ 判断:物事のあり方,内容,価値などを見きわめた上での考え・ 意見:自分なりの考えから到達した結論・ 確信:疑問の余地がないと思われる意見・ 仮説:テストの結果をみて判断すべき,仮に打ち出された考え・ 理論:完全に証明されていない仮説 |
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例文 |
ジョージ・ワシントンはアメリカの最も偉大な大統領であった. |
意見を記述する際は, 意見を述べる対象が事実となってはいけない.
対象が事実 |
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対象が意見 |
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事実と意見をきちんと区別し, 事実で裏付けされていない意見の記述は極力避けなければならない.
一つのパラグラフは一つの話題のみについて記述しなければならない. 話題は著者の思想により大きくも小さくもとれる. 話題が大きければパラブラフは長くなり, 小さければパラグラフは短くなる. 従って, 読みやすい文章を記述するためには, 著者の思想と話題の分類の仕方が重要となる.
一つのパラグラフ内のトピックを概念的に記述しているセンテンスをトピック・センテンスといい,原則的に第一文目に記述する.しかし,前のパラグラフとの関係から第一文目に記述することが難しい場合も多い.具体例や他のパラグラフの関係などに関して記述しているセンテンスはトピック・センテンスとはならない.
書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる.これら一つ一つの短文を論理的にきちっと並べてパラグラフを作っていく.そのさい,主語を文字にして書き表わすことはかならずしも必要でないが,その文の主語を常に意識し記述する.情報を伝えるためのの文書では,文章の迫力が失われようとも,明解な文章を目指すべきである.こうしたことを踏まえた例を次に挙げる.
長文 |
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短文 |
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意見や主張など記述する際は, ぼかした言い方を避けはっきりと言い切る. ぼかした言い方により何の主張もされていない文はむしろ削除すべきである. もちろん, 断定的な表現はその一語一句に著者の責任がともなう.