書き手が自分の考えを構造的に組み立てる作業は,読み手にとって解り易くするのみでなく,自分が何を考えているのかをはっきりと認識するためにも良い.
基本的に,文章は読み手にとってわかりやすいものでなくてはならない.そのためには,まず主たる大きな考えを記述し,そのあとにその大きな考えを構成する小さな考えを記述すると良い.
大きな考え(1) | |||||||
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小さな考え(2) || 大きな考え(6) | 小さな考え(3) || 大きな考え(9) | 小さな考え(4) || 大きな考え(12) | 小さな考え(5) || 大きな考え(15) | ||||
小さな考え(7) | 小さな考え(8) | 小さな考え(10) | 小さな考え(11) | 小さな考え(13) | 小さな考え(14) | 小さな考え(16) | 小さな考え(17) |
( )内の数字は話す順序を表わしている.
表現例 |
私の主張は(1)である.その理由として(2),(3),(4),(5)がある.(6)である根拠は(7),(8)からくる.次に(9)である理由を述べよう.それは(10),(11)と言えるからである.(12)である理由は(13),(14)からくる.最後に(15)の理由について述べると(16),(17)と言えるからである.
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大きな考えと小さな考えの間に成り立つ関係を縦の関係と呼ぶ.大きな考えは,縦の関係でグループ化された全ての小さな考えを要約したものでなければならない.こうした縦の関係を簡単に表現するには,大きな考えで質問しその答えを小さな考えで表わせば良い.
大きな考え | 小さな考え |
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題名 | 章 |
序章 | 二章以降 |
章 | 節 |
節の中の第一パラグラフ | 節の中の第二パラグラフ以降 |
パラグラフ内の第一センテンス | パラグラフ内の第二センテンス以降 |
同じ縦の関係でつながっている小さな考えの間の関係を横の関係と呼ぶ.横の関係に対しては,小さな考えを並べる順序が極めて重要となる.つまり,その順序は論理的に並べられていなければならないのである.
演繹法では,論理を連続的なステップで展開する.初めに普遍的な状況を述べ,この状況に関する具体的な事柄を次に述べる.最後にこれらの状況から導かれることを述べる.
例文 |
すべての人間はいつか死ぬ. ソクラテスは人間である. ゆえに,ソクラテスは死ぬ. |
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帰納法では,メッセージを同様の内容を表す事柄でくくる.いくつかの賛成理由や反対理由,ステップ,問題などを挙げ,共通する状況から一つの推論を行う.
例文 |
フランス軍の戦車がポーランド国境に集まっている. ドイツ軍の戦車がポーランド国境に集まっている. ロシア軍の戦車がポーランド国境に集まっている. ポーランドは今まさに各国からの侵略を受けようとしている. |
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序論では主題となる問題を明記する. そして, その問題に対する背景, 動機, 重要性, 解決方法を物語風に記述していく.
序章を物語風に書くことで,読者の興味をひきつける.
記述方法は,準備段階で考えた文章の方向性を軸に,収集した材料から論理的に文章を記述していくとよい.より具体的な方法として,トップダウン型とボトムアップ型がある.
はじめに,文章全体の構成を考え,メモや図・表などの材料をもとに各項目をうめていく.各項目の関連性を考えてながら文章を仕上げる.
メモなど収集した材料から関連するものをまとめる.それらを更に大きな概念でまとめ、文章を構成していく.
結びでは,本文中の重要な点を簡単にまとめ,今後の発展に対する議論を行う.