よい文書を作成するためには, 十分な準備作業が必要となる. つまり,文書の役割を確認し,その役割に応じた主題を精選する. その後に,書くための材料を集め,その主張を決定するのである.
書く文書に対して, その役割や機能を確認し, 読者が期待していることを考える.
社内かぎりの文書の役割 |
自分のセクションの技術的な業績を記録として残し,また他のセクションに参考資料として提供する.
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申請書の役割 |
研究の価値と成功の可能性に対する判断の資料を提供する.
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文章を書く時に主題が決まっていない場合がしばしばある. すでに課題が与えられていたり書く内容が決定している場合を除いて, 主題を決める際に注意すべき事柄をまとめる.
一つの文書に二つ以上の主題を記述すべきではない.なぜなら,別の主題が入ることで文章の説得力が低下したり,うまく整理できなくなる場合があるからである.
質のよい文章を書くためには,長さに応じて主題をしぼらなければならない.
主題を選定するにあたって,読者がだれであり,その文書に何を期待しているのかを十分に考慮しなければならない.
他人の報告書や論文から得た知識よりも自分自身の考えに重点をおくべきである.
主題が決定したら,文章を書き始める前にメモをとり,書く材料を集める.メモは無秩序に頭に浮かんだこと全てを書き下すとよい.整理は後で行えばよいのである.
基本的には誰が(Who)・いつ(When)・どこで(Where)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)行ったのかを記述しなければならない.その他,具体的な問題点に関しては以下の項目に注意しなければならない.
問題に関する記述 |
問題は何であるかを明記する. 問題に対して解っている部分を明記する. 解っていない点について調べなければならない部分を明記する. |
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手書きでよいので必要となる図や表を設計する.
関連する文献や参考となる文献を調査する.
主題が決定し執筆材料がたまったら,次に何を目標とし何を主張したいのかを明記し文章の筋道をたてる.執筆途中で想定していた主張の欠点が見つかった場合は,目標や主張を明記し直し初めから本文を書き直すべきである.