IT|TeX|数式環境|筆記体

数式や記号を出力する場合は，数式モードと呼ばれる特定の領域を確保し，そこに数式や記号に対するコマンドを用いることでそれらを出力する．この数式モードは，インテキストモードとディスプレイモードの2つに大きく分けられる．

cal

主に簡単な数式や数式モード用の文字を平文中に埋め込むときに使用する．

math環境

テンプレート	\usepackage{amsmath}
省略形	\usepackage{amsmath,amssymb}

mathcal

数式を平文から独立させて出力するときに使用する．

displaymath環境

テンプレート	\begin{displaymath} `数式モード用文字` \end{displaymath}
省略形	$$`数式モード用文字`$$ \[`数式モード用文字`\]

テンプレート

\begin{displaymath}
数式モード用文字
\end{displaymath}

省略形

$$数式モード用文字$$

\[数式モード用文字\]

equation環境

dispalymath環境に対して数式番号の出力機能が付け加えられた環境である．

テンプレート	\begin{equation} `数式モード用文字` \end{equation}

array環境

行列を記述したい時に使用する．

テンプレート	\begin{array}{`位置指定の記号を列の数だけ表記`} `1行目の成分を&で区切り記述する．` \\ `2行目の成分を&で区切り記述する．` \\ `以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う．` \\ `最終行の成分を&で区切り記述する．` \end{array}

テンプレート

\begin{array}{位置指定の記号を列の数だけ表記}
1行目の成分を&で区切り記述する． \\
2行目の成分を&で区切り記述する． \\
以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う． \\
最終行の成分を&で区切り記述する． 
\end{array}

指定位置の記号	意味
l	左揃え
c	中央揃え
r	右揃え

eqnarray環境

1つの環境内に複数の数式を出力できる．quation環境と同様に数式番号の出力機能がついており，改行することにより複数の式に数式番号がつく．

テンプレート	\begin{eqnarray} `1つ目の式を記述する．` \\ `2つ目の式を記述する．` \\ `以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う.` \\ `最後の式を記述する．` \end{eqnarray}

テンプレート

\begin{eqnarray}
1つ目の式を記述する． \\
2つ目の式を記述する． \\
以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う.  \\
最後の式を記述する． 
\end{eqnarray}

空白コマンド

数式モードでは全ての空白が無視されるため，空白を出力するためのコマンドが必要となる．

コマンド	使用例	出力結果	備考

\negthickspace	A \negthickspace A		amsmathパッケージが必要
\negmedspace	A \negmedspace A		amsmathパッケージが必要
\negthinspace または \!	A \negthinspace A または A\!A		特になし
なし(基準)	AA		特になし
\thinspace または \,	A \thinspace A または A\,A		特になし
\medspace または \:	A \medspace A または A\:A		amsmathパッケージが必要
\thickspace または \;	A \thickspace A または A\;A		amsmathパッケージが必要
\quad	A \quad A		特になし
\qquad	A \qquad A		特になし

amsmathパッケージが必要なコマンドはプリアンブルに\usepackage{amsmath}と記述する．

分数 frac

分数を記述したい時には数式環境内で次のコマンドを入力する．

テンプレート	/frac{`分子`}{`分母`}
例	\frac{1}{2}
出力	$frac.gif$
YaTeX	`;fRET分子RET分母RET`

平方根 sqrt

平方根を記述したい時には数式環境内で次のコマンドを入力する．

テンプレート	/sqrt{`ルートの中の文字`}
例	\sqrt{2}
出力
YaTeX	`;sqRETルートの中の文字RET`
例	\sqrt[3]{2}
出力

総和 sum

総和の記号を記述したい時には数式環境内で次のコマンドを入力する．

テンプレート	/sum_{`初項`}^{`最終項`}
例	\sum_{n=1}^{\infty} a_n
出力
YaTeX	`;sRET初項RET最終項RET`

積分 int

積分記号を記述したい時には数式環境内で次のコマンドを入力する．

テンプレート	/int_{`下限`}^{`上限`}
例	\int_{0}^{1}xdx
出力
YaTeX	`;iRET下限RET上限RET`

コマンド	出力結果	備考

\iint		amsmathパッケージが必要
\iiint		amsmathパッケージが必要
\iiiint		amsmathパッケージが必要
\idotsint		amsmathパッケージが必要

関数

コマンド	出力結果	コマンド	出力結果	コマンド	出力結果	コマンド	出力結果

\arccos		\arcsin		\arctan		\arg
\cos		\cosh		\cot		\coth
\csc		\deg		\det		\dim
\exp		\gcd		\hom		\inf
\ker		\lg		\lim		\liminf
\limsup		\ln		\log		\max
\min		\Pr		\sec		\sin
\sinh		\sup		\tan		\tanh

ギリシャ文字

小文字

コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX

\alpha		`:a`	\beta		`:b`	\gamma		`:g`
\delta		`:d`	\epsilon		`:e`	\zeta		`:z`
\eta		`:et`	\theta		`:th`	\iota		`:i`
\kappa		`:k`	\lambda		`:l`	\mu		`:m`
\nu		`:n`	\xi		`:x`	\pi		`:p`
\rho		`:r`	\sigma		`:s`	\tau		`:t`
\upsilon		`:u`	\phi		`:ph`	\chi		`:c`
\psi		`:ps`	\omega		`:w` `:o`	\varepsilon		`:e-`
\vartheta		`:th-`	\varpi		`:p-`	\varrho		`:r-`
\varsigma		`:s-`	\varphi		`:ph-`

YaTeX環境で:spaceをうつと、YaTeXコマンドで最後に使ったギリシャ文字がでる．

小文字のボールド体

コマンド	\boldsymbol{ }
使用例	\boldsymbol{\alpha \beta \gamma \delta \epsilon \zeta \eta \theta \iota \kappa \lambda \mu \nu \xi \pi \rho \sigma \tau \upsilon \phi \xi \psi \omega}
出力結果
備考	ギリシャ小文字のボールド体は`\bf`では表せない．

大文字

コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX

\Gamma		`:G`	\Delta		`:D`	\Theta		`:T`
\Lambda		`:L`	\Xi		`:X`	\Pi		`:P`
\Sigma		`:S`	\Upsilon		`:U`	\Phi		`:Ph`
\Psi		`:Ps`	\Omega		`:O :W`

大文字のボールド体

コマンド	\boldsymbol{ } あるいは {\bf }
使用例	\boldsymbol{\Gamma \Delta \Theta \Lambda \Xi \Pi \Sigma \Upsilon \Phi \Psi \Omega}
出力結果
備考	ギリシャ小文字のボールド体は`\bf`でも表せる．

ドイツ語表記のアルファベット

小文字

コマンド	\mathfrak{ }
使用例	\mathfrak{abcdefghijklmnopqrstuvwxyz}
出力結果
備考	amssymbパッケージが必要

大文字

コマンド	\mathfrak{ }
使用例	\mathfrak{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}
出力結果
備考	amssymbパッケージが必要

太文字のアルファベット大文字

コマンド	\mathbb{ }
使用例	\mathbb{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}
出力結果
備考	amssymbパッケージが必要 mathbbの小文字は定義されていない．

大型の数式記号

コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX

\bigcup		`;CU`	\bigcap		`;CA`	\bigsqcup
\biguplus			\prod		`;p`	coprod
\bigodot			\bigotimes		`;Ox`	\bigoplus		`;O+`
\bigvee			\bigwedge			\oint		`;oi`
\sum		`;sRET下限RET上限RET`	\int		`;iRET下限RET上限RET`

関係演算子

コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX

=		`=`	>		`>`	\mid		`;\|`
\sqsubseteq		`;[-`	\neqまたは\ne		`;=/`	\leqまたは\le		`;<`
\parallel			\sqsupseteq		`;]-`	\equiv		`;=`
\geqまたは\ge		`;>`	\subset		`;(`	\sim		`;~`
\doteq		`;.=`	\ll		`;<<`	\supset		`;)`
\approx		`;~~`	\cong		`;~=`	\gg		`;>>`
\subseteq		`;(-`	\frown			\models		`;\|=`
\simeq		`;~-`	\supseteq		`;)-`	\smile
\perp		`;_`	\prec			\in		`;{`
\asymp		`;a`	\vdash		`;\|-`	\succ
\niまたは\owns		`;}`	\Join			\dashv		`;-\|`
\preceq			\sqsubset		`;[`	\bowtie		`;bo`
<			\succeq			\sqsupset		`;]`
\propto		`;o<`	\not@			\not=
\not\leq			\not>			\not\equiv
\not\sim			\not\geq			\not\approx

Join・sqsubset・sqsupsetはlatexsymパッケージを必要とするので，プリアンブル部分に\usepackage{latexsym}と記述しなければならない．

2項演算子

コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX	コマンド	出力結果	YaTeX

+		`+`	-		`-`	\pm		`;+`
\mp		`;-`	\times		`;x`	\div		`;/`
\ast		`;*`	\star		`;#`	\circ		`;o`
\bullet			\cap		`;c`	\cup		`;cu`
\sqcap		`;\|~\|`	\sqcup		`;\|_\|`	\cdot		`;.`
\vee		`;v`	\wedge		`;^`	\uplus		`;u`
\wr			\setminus			\amalg		`;I`
\oplus		`;o+`	\ominus		`;o-`	\otimes		`;ox`
\odot		`;o.`	\oslash		`;o/`	\bigcirc		`;O`
\diamond			\bigtriangleup		`;/-`	\bigtriangledown
\triangleleft			\triangleright

mathscr

大文字アルファベットを花文字で出力する．

パッケージ	\usepackage{mathrsfs}

コマンド	\mathscr{ }
使用例	\mathscr{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ}
出力結果
備考	mathscrの小文字は定義されていない．

行列コマンド

コマンド	使用例	出力結果	備考

{ \atop }	{x \atop y}		特になし
{ \choose }	{x \choose y}		2成分ベクトル表示などで使用
{ \brace }	{x \brace y}		特になし
{ \brack }	{x \brack y}		特になし
`{ \atopwithdelims\{. }`	`{x \atopwithdelims\{. y}`		連立方程式などで使用
`\left\|{ \atop }\right\|`	`\left\|{a_{11} \; a_{12} \atop a_{21} \; a_{22}}\right\|`		行列式などで使用使用例で用いた\;コマンドはamsmathパッケージが必要

インテキストモードで表示できる．

数式をそろえる

数式が複数行になるとき，eqnarray環境内で基準とする文字を&ではさむことで数式をそろえることができる．

テンプレート	\begin{eqnarray} `数式`&`基準とする数式や記号`&`数式`\\ `数式`&`1行目の基準に合せる数式や記号`&`数式`\\ `以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う．`\\ \end{eqnarray}
例	\begin{eqnarray} (a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \\ (a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3 \end{eqnarray}
出力

テンプレート

\begin{eqnarray}
数式&基準とする数式や記号&数式\\
数式&1行目の基準に合せる数式や記号&数式\\
以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う．\\
\end{eqnarray}

例

\begin{eqnarray}
(a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \\
(a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3
\end{eqnarray}

出力

数式番号の消去

数式番号を消去するいくつかの方法がある．

equation*

equation環境では数式番号がつくが，最後に*をつけることで数式番号が設定されなくなる．

テンプレート	\begin{equation} `数式` \end{equation}
例	\begin{equation} (a+b)^3 = a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3 \end{equation}
出力

eqnarray*

eqnarray環境では改行することで複数の式に数式番号がつくが，最後に*をつけることでそれら全ての式に対して数式番号が設定されなくなる．

テンプレート	\begin{eqnarray} `1つ目の式を記述する．` \\ `2つ目の式を記述する．` \\ `以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う.` \\ `最後の式を記述する．` \end{eqnarray}
例	\begin{eqnarray} (a+b)^1 & = & a + b \\ (a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \\ (a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3 \end{eqnarray}
出力

テンプレート

\begin{eqnarray*}
1つ目の式を記述する． \\
2つ目の式を記述する． \\
以後, 表わしたい行まで同様の記述を行う.  \\
最後の式を記述する． 
\end{eqnarray*}

例

\begin{eqnarray*}
(a+b)^1 & = & a + b \\
(a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \\
(a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3
\end{eqnarray*}

出力

nonumber

equation環境では数式番号がつくが，改行する前に\nonumberと記述するこのとにより，任意の数式に対して数式番号が設定されなくなる．

テンプレート	\begin{eqnarray} `数式番号を付けたい数式を記述する．` \\ `数式番号を付けたくない数式を記述する．` \nonumber \\ `以後，同様の記述を行う．` \end{eqnarray}
例	\begin{eqnarray} (a+b)^1 & = & a + b \\ (a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \nonumber \\ (a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3 \nonumber \end{eqnarray}
出力

テンプレート

\begin{eqnarray}
数式番号を付けたい数式を記述する． \\
数式番号を付けたくない数式を記述する． \nonumber \\
以後，同様の記述を行う． 
\end{eqnarray}

例

\begin{eqnarray}
(a+b)^1 & = & a + b \\
(a+b)^2 & = & a^2 + 2ab + b^2 \nonumber \\
(a+b)^3 & = & a^3 + 3a^2b + 3ab^2 +b^3 \nonumber
\end{eqnarray}

出力

GAKUMONDO

筆記体

cal・mathcal

cal

mathcal

mathptmxパッケージ

空白コマンド

eucal

分数 frac

平方根 sqrt

総和 sum

積分 int

関数

txfonts

ギリシャ文字

ドイツ語表記のアルファベット

太文字のアルファベット大文字

大型の数式記号

関係演算子

2項演算子

mathrsfsパッケージ

mathscr

行列

行列コマンド

数式の出力表現

数式をそろえる

数式番号の消去

数式番号の様式

数式の出力位置

数式の参照